書評

2013年4月27日 (土曜日)

中学受験その前に 中学受験「産業」の裏側 『中学受験の失敗学』と『亡国の中学受験』

中学受験のため子供を塾に行かせようかなと思ったらまず本書を熟読。

中学受験で問題になるのは大人である。大人が子供に受験という「労働」をさせている。その大人も疲弊している。

その大人を「ツカレ親」として考察しているのが『中学受験の失敗学』である。受験産業を裏から見た現実である。表は広告で埋まっている。

中学受験の失敗学 (光文社新書)
光文社  著者:瀬川松子  価格:777円 

 

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読んで面白いなと思ったのが母親より父親の関与である。一言でいうと父親の方が重症化するようである。

唯一の欠点は出版年(2008年)からくる情報の「やや古さ」である。中学受験者数は実はピークを過ぎており、いわゆる大学と同じ全入に近い状態である。中高一貫校も生き残りに必死である。ちなみに受験のピークは20世紀末にあり、そこから落ち込んだったが、公立のゆとり教育を宣伝することによって21世紀に入って一時持ち直した。

私立中学受験バブルは崩壊
私大付属も中下位校も大幅減

時たま挟む塾側の視点も面白い。聖職者扱いされる教育といえども塾や家庭教師(の派遣会社)は営利事業である。そのため、経営のための「営業」の存在を指摘している。もちろん子供にとって不要な営業である。とどのつまり親が上手くコントロール(マネジメント)しないと塾の餌食になる。餌食になれば「忙しすぎて勉強が出来ない」という変な話になる。ちなみに勉強は復習(の時間確保)と睡眠が大切です。さらにわからないところまで戻っての積み上げです。積み残しは後で響いてきます。

全体として受験産業(塾と私立校と一部雑誌)を批判している。それは世に出回る情報がほとんど「広告」だからである。本書を読んで初めてバランスが取れる。本の中身は、当たり前の話と言えば当たり前だが、それは当事者の心理状況を考えると「正しい意見」ではない。親の不安につけ込むビジネスが存在できるのは、その心理状態が「普通」ではないからである。第三者はよく見える。当事者はよく見えない。

続編がこちら

亡国の中学受験 (光文社新書)
光文社  著者:瀬川松子 

 

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前作が入学前(塾周辺)とするなら、こちらは入学後(学校周辺)の話である。そして前著が総論とするなこちらは各論である。

私立も公立と同じ問題(例えばいじめ)を抱えている。また公立と違って私立は営利なので営利の闇=裏口入学等がある。

アマゾンに載っていた書評がすばらしい。

そこで、学校選びの際の、判断基準を一つ。

学校説明会へ言ったら、手を挙げて 「(2005年なら2005年入学者を追跡し)中学入学時の生徒数と自校内からの高校進学時の生徒数を教えてください」 と言ってください。

それで、高校進学者が減っていれば(確実に減っています) 「その理由をすべて教えてください」と言ってみてください。成績不振、素行不良、いろいろあるはずです。転校と言ってごまかすときもあると思うので、 その時は、転校の理由をしつこく聞いてください。

この答によって、または、答え方によって、子供をどう扱う学校か判断できるはずです。答えない学校は論外。志望校から直ちに排除してください。

そういえば公立中学の校長の愚痴として、「私立中学から退学してきた生徒のケアが大変」というのが記事になったことがある。

塾もビジネスである。そのビジネスとして儲けるにはある程度「公式」がある。塾が相手にする生徒は上位2割くらいで、後の8割は「お客さん」だという。どこの塾(大手)でもこの公式が当てはまるだろう。塾関係者の言葉を借りれば、まともにやろうとすると(教育は)商売にならないのだ。

こんなハズじゃなかった中学受験 (地球の歩き方Books)
ダイヤモンド社  著者:のびちゃんパパ  価格:1,575円 

 

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最後に

学校が子供を変えることは全体の傾向としてそれほどありません。個別ではありえます。全体の傾向として子供の能力が学校の能力(進学実績)を決めます。だたそれが学校の能力のように誤解されています。(だからこそ学校側は入試高得点者を学費全額負担をしてでも入学させたいのでしょう。特進クラスを作って「学校内学校」をつくることもあります)

平均を取ると綺麗に偏差値順に合格実績が並びます。つまりその学校に行ったから東大に入れたわけではなく、もともとそのくらいの学力をもつ生徒が集まっているから東大合格という実績が生まれるのです。一流校は生徒が一流なのです。

都立全盛から私立全盛になった70年代より前(60年代中盤)に、何があったのかを知れば自ずと答えが出そうです。たぶん、もともと優秀な生徒が公立高校受験から私立中学受験へシフト(受験時期の前倒し)しただけだと思います。

世の中に魔法はありません。

中学受験 (岩波新書)
岩波書店  著者:横田 増生  価格:840円 

 

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なぜ、ウチの子だけ合格するのか?―中学受験「かしこい塾の使い方」
マーケティング・トルネード  著者:西村 則康 

 

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FUD

2012年7月20日 (金曜日)

ロシアは西欧の田舎者なのか 佐藤 優『自壊する帝国』

自壊する帝国 (新潮文庫)
新潮社  著者:佐藤 優  価格:820円 

 

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新人外交官が見たソ連崩壊と帝国ロシア。

あの時期にあの場所いたという貴重な体験をした数少ない日本人が佐藤優(元)外交官である。彼は元々神学の学徒(大学院生)でたまたま外務省に専門職(ノンキャリ)として入省した。しかしその専門知識、主にプロテスタントの教養が外交官として後々生きてくる。

語学研修はなぜか現地ロシアではなくイギリスへ。ロシア(当時はソ連)の外国人用語学学校では語学を下手になるようにし向ける。これはスパイ防止目的である。上手いロシア語を話す外国人は要注意人物という発想だ。

この本は色々な知識がつまっていてどれも大変興味深い。そのなかで気になったのがロシアがヨーロッパの田舎であるというロシア知識人のコンプレックスである。直接は書かれていない。しかし日本人外交官との会話から感じ取れるのである。共産主義革命はロシアを世界最先端にしようとする思いがあったのではないだろうか。

とにかく色々つまりすぎて著者の荒削りだが圧倒的な知識量には驚かされる。文庫版の後ろにある解説文がかわいそうになるくらいである。もっとも本文より解説文が価値があると言われる本は大塚が訳したプロ倫くらいであるが。この本は書くことが非常に適格で、よくある薄めた駄文とは訳が違う。書き手の能力と知識量がこの本にはつまっている。

インテリジェンスとして、彼は雰囲気や印象ではなく根拠を求める。情報(根拠)が同じでも解釈は複数ある。

信念の人は政治がわからないというロシア人(ソ連人)の話は色々考えさせられる。政治とは現実を動かすことだ。これはマキャベリズムではないのか。

情報機関のやり方は嘘がない。ただ2%の事実を大きく見せるだけだ。これが情報操作である。

最後に、著者である佐藤優は外交官になろうとして成ったわけではない。そして才能(観察眼)を自分で発見したわけでもはない。たまたま神学(キリスト教の研究)の関係で外務省に入り(チェコスロバキアに行きたかった)、偶然の巡り合わせでソ連崩壊に立ち会ったのである。また現地の友人に恵まれた。彼はその友人から外交官とは何かを実地で教わったのである。

憂国のラスプーチン 1 (ビッグ コミックス)
小学館  著者:佐藤 優,伊藤 潤二,長崎 尚志  価格:550円 

 

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読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門
東洋経済新報社  著者:佐藤 優  価格:1,575円 

 

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