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2016年10月 7日 (金曜日)

「君の名は。」と江川達也による批判と誤解と江川達也論

江川達也氏、爆発的ヒット「君の名は。」に「プロから見ると全然面白くない」

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先に結論:保守的で革新性がない。故に面白くない。

年長者からみれば手垢のついた方法論でやっていて、「ああ、あれね」とわかり、具体的な過去作まで思い浮かんでしまう。長年業界にいるとだいたい手の内がわかるので新鮮さがなくなってしまう。

売れたマンガ家として「売れる要素を入れました」という作品に見えたので、そら面白いわけがない。自分も手口といてやったから。実際売れたのよ。江川達也は。後半ぐだぐたなのはその反動が出ているから。大人としてやりきる浦沢直樹とは別方向のマンガ家です。

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江川達也は元数学の教師でそれを生かして東大は腐っているみたいな路線へ行った。実際それが自身の考えである。

デビュー作

BE FREE! 1 (モーニングKC)
講談社  著者:江川 達也 

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師匠は宮本ひろし。彼は本当に売れている作家である。そこに行って売れる要素を教わって実際に売れた。

男一匹ガキ大将―本宮ひろ志傑作選 (1) (集英社文庫―コミック版)
集英社  著者:本宮 ひろ志 

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ジャンプシステムの原型だそうだ。

ジャンプでの代表作。

まじかる☆タルるートくん (1) (集英社文庫―コミック版)
集英社  著者:江川 達也 

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桂は違うけどおまけで。

M (Young jump comics)
集英社  著者:桂 正和 

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本論

江川達也はジャンプの売れるシステムで売れた作家である。もちろん師匠もそこの出身である。江戸達也は頭が良い。故にそのシステムを自覚的に使ったはずである。だから売れる仕掛けみたいなものは手に取るようにわかるのである。もちろん自身を金持ちにしてくれたシステムだか複雑な感情だろう。それは東大批判に始まる偏差値システム批判につながる。

教育には東大を頂点としたシステムがあって、かつて某私大もミニ東大を目指したとか言われた。偏差値を媒介にした無個性の学歴社会システムを作り出した。だから彼は東大を批判したのだと思う。

彼はそういった作られた仕組みに対してものすごく嫌悪感があるのだと思う。でも自分は頭が良いので使える。実際使って結果を出してきた。そこに複雑な感情がある。もちろんこれは想像である。

何かの番組でそういったシステムがあまり好きじゃないみたいなことを言っていた。読者側として今のマンガを読んだ場合、売れるジャンプシステムが見えるのでどうも入り込めないらしい。少年ジャンプは大人が読むマンガではないというのはあたり前だけど。

だから自分を成功させた仕組みに対する嫌悪感というのがあるのだと思う。

江川氏は「これ売れるなとは思いましたけど。丁寧に売れる要素をぶち込んでて、言ってみれば『大人のドラえもん』みたいなもん」と辛口にコメント。続けて「プロから見ると全然面白くないんですよ。作り手から見ると、作家性が薄くて売れる要素ばっかぶち込んでる、軽いライトな(作品)」と一刀両断にした。

作家性こそが個性で、売れる要素は偏差値で消えた個性である。そう読めば主張自体に矛盾はない。つまりおっさん達が嫌ったシン・ゴジラに恋愛要素はいらないと同じ理屈である。恋愛要素は売れるんですよ。

大人のドラえもんは彼が昔から批判してる。そのドラえもんのアンサーソングとして『まじかる☆タルるートくん』を書いた。のび太の欲望を際限なく満足させていくという批判だったと思う。

作家性が薄いは先に書いた売れるシステム批判だと思う。ハリウッドの売れる要素をぶち込みました的な脚本に対する批判と同じ。作品を工業的に作るなということですね。売れる要素を入れても何かしら見えるんですけどね。

売れる要素は作家性が見えない。だけど商売上、売れる要素は必要。その狭間が制作ということですね。作品と商品の差とも。売れる要素を入れたから新海誠はマイナー作家からジョブチェンジできた。

ゲームでも主要メンバーが外れた作品が果たして続編を名乗って良いのか。そこが作家性ですね。MGSどうなるんでしょう?

追記

売れるシステムで売って後半は作家性を出して夢落ちです。

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