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2007年8月23日 (木曜日)

防衛省人事の乱は民主制と専制との対立

小池防衛相の人事を巡る争いは一応決着を見ました。ところで官僚の人事権は誰が握っているのか? 回転ドア式のアメリカは大統領。実際は議会(=国民)の承認が必要。では日本は?

日本の官僚組織は中国の皇帝制と同じ

日本の官僚組織は専制国家である中国の皇帝制を真似たものです(家産官僚制)。古代中国は官吏(公務員)登用試験である科挙により、皇帝の職務を遂行する人間を登用してきました。よって官僚の人事権は皇帝にあるわけです。

議会制)民主制では、アメリカの場合上級公務員は、議会の承認が必要です。つまり国民に選ばれた人が人事権(承認権=意思決定)を持っているわけです。

日本は天皇を中心とした国家体制を明治に作り上げました。官僚も科挙試験(高等文官試験)を突破した人で天皇の部下(臣下)です。○×大臣も字のごとく臣下。(律令制も皇帝制だがここでは近代国家以降を述べる)

問題は内閣総理大臣(その他の国務大臣)を新憲法で議会(=国民)が選ぶことになったことです。話を簡単にすると大臣と官僚は天皇の部下なのに、新憲法で大臣だけが国民の部下になったのです。(明治憲法下では天皇の任命。憲政の常道という時期はここでは無視。)

  国民の代表者 VS 天皇の臣下(家産官僚)

という対立が起きてしまいます。現代では天皇の政治は制度上否定されていますので、主のいない自立した官僚と国民の代表者という対立が起きている訳です。(本来なら家産官僚から法衣官僚への移行が無ければならない) 省益合って国益無し。課役あって省益無しというところもここら辺が遠縁かな? だって中心となる存在(目標)がないから合目的に動けない。

誰が決定者か 人事を巡る権限の不在

このように人事を巡る争いは日本の政治制度の表れとしてみると大変面白いはずです。かなりいい加減な議論をしているのでご注意を。

 問題は誰が決定者か? です。

日本の政治体制は、皇帝制と議会制民主主義の混合体です。そして、皇帝制は1947年で終わりましたが、制度の上だけ変えただけで、その下の官僚機構は皇帝制のままです。(心の中まではそう変われない) 制度上完全な議会制民主制に移行したときに官僚という皇帝の部下という制度(皇帝制)も変えるべきでした。

皇帝制:皇帝を中心とした政治体制。中国は皇帝が全てを束ねているがそれは事実上不可能。よって皇帝の手足となって働く人たちが必要。それが官僚。皇帝-官僚というライン。

誰が決定するのか? 天皇? 首相?

天皇は明治憲法上でも、それほど強大な権力を握ってはいない。だからズルズル戦争へ。

まとめ

「民主制の国民が選ぶという制度」と「専制の皇帝が選ぶという官僚制」が政治上の意思決定がぶつかったのが今回の事件です。

どちらがいいかは分かりません。アメリカの回転ドア方式(民と官を行き来する)の人事も嫌なので(審議会で利権漁りしているのは日本)。詳しくはシッコ(マイケル・ムーア最新作)という映画で。金で買えるアメリカ民主主義 (角川文庫)

注意

話を簡単にして書いてあります(モデル化)ので、かなり理屈に無理があると思います。理念型という分析方法らしい。皇帝制は中国の政治体制で日本はそれを真似ただけです。ただ皇帝が権力を握る中国と違って日本が天皇親政を行ったことは歴史上ほとんどありません。

参考&推薦文献

官僚制の実態
日本の統治機構

科挙試験とは? その歴史的背景が前半に書かれている。

Book 科挙―中国の試験地獄 (中公新書 (15))

著者:宮崎 市定
販売元:中央公論新社
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山川なのでオマケ。

Book 科挙と官僚制 (世界史リブレット)

著者:平田 茂樹
販売元:山川出版社
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官僚も人の子。サボるし腐敗する。よって皇帝自ら監督に乗り出して、過労死したと言われているお話。

雍正帝―中国の独裁君主 (中公文庫) Book 雍正帝―中国の独裁君主 (中公文庫)

著者:宮崎 市定
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